株式会社アローズ|二谷 誠

会社経営は、成功よりも先に成立させることが本質。大きく勝つのも良いが、絶対に負けない戦いをすれば必ずチャンスは訪れる。起業で守るべき5つのルールとは。

「売上に比例して固定費も増える経営は、売り上げが下がった瞬間から組織が崩れ始める」と語るのは株式会社アローズ代表の二谷氏。その言葉通り、売上を伸ばしながらも固定費を維持し、盤石な経営基盤を築いている。二谷氏はタチアゲのためになにを計画し、どのように行動したのか紐解いていく。

ラットレースから抜け出さなければという危機感

─まず、起業のキッカケからお聞かせください

高校の卒業から24歳までは海外を放浪していました。その後にきちんと就職しようと思ったのですが、なんと60社の面接に落ちてしまったのです(笑)。そこで、仕方なく始めた飲食店の派遣バイトで衝撃を感じました。そこには40歳くらいの先輩がいたのですが、夜中まで働いても30万円ほどしか給料をもらっていなかったんです。改めて自分の未来を重ね合わせたときに、一生そういう働き方をするのは嫌だなと。がんばって働いて給料をもらっても、あっという間にすべてが生活費で消えてしまう。だからまたがんばって働くしかない。これはまさしく「ラットレース」であり、自分はラットレースの中を走っているんだという強烈な危機感をおぼえました。

生活のためだけに働く人生から脱却したかった

─未来が想定できてしまう働き方に魅力を感じなかったということですね

その通りです。ただ、自分には学歴も経歴も資格も経験もないので、何もせずに人生がうまくいくのは無理だとわかっていました。また、飲食店で半年ほど働いて、引き続き派遣を更新すれば生活の見通しがつくのはわかります。しかし、その半年を繰り返すうちに30歳を過ぎてしまうことに危機感を感じ、思い切って断りました。

「家族と過ごせない職場の先輩を見て、同じレールにいた自分が不安だった」と話す二谷氏。

─その後のアイディアはあったのでしょうか

少しでも自分の将来にプラスになる仕事がないか、海外と繋がる仕事はないかなと探していたところ、現在の共同創業者が運営する営業会社を偶然見つけたんです。そこには独立支援制度というものがあったので、ラットレースから抜け出すために1年間、必死に働きました。スキルもアイデアもない自分にとって、この制度で学んだ営業やマネジメントは非常に大きかったです。

自分で会社を経営して収入を増やし、収入を無駄遣いせずに運用に回していけば、自分の生活費くらいは資産から賄えるようになるだろうと。つまり、生活費のために働く必要がなくなるんですね。そこを目指すために、独立支援制度を通して1年後に独立をしました。

凡人がつくるべきは営業会社

─ビジョンがあって独立されたというより、生活費を稼ぐために働くのはやめようと

その通りです。お金持ちになる手段はいろいろあります。しかし、学歴・資格・経験・スキルのすべてが無い24歳の私が、資産を持つのは難しいと思っていました。エリートサラリーマンとして大企業で高給を得るのは学歴上、私には無理ですし、かと言って特別な才能があるわけじゃないし、アルバイトでは給料も上がらない。ところが、会社経営は実力主義の世界なので、努力さえできれば学歴がなくても良いんです。ただ、経営といっても特別なプロダクトをつくれるわけでもないので、そういったスキルが必要ない営業を選びました。

営業は才能ではないので、体系的に学んで練習すれば誰でもうまくなります。また、爆発的に売れている商品であれば大した営業力も必要ありません。さらに、なんといっても在庫リスクがなく、現金化も早いんです。確かに、在庫を抱えることで大きな売り上げを狙えるメリットもあります。しかし、現金化までの時間も長いので、キャッシュフロー管理も大変ですし、場合によっては利益率も悪くなるんです。

タチアゲはあくまでスタート。大切なのは目的地

─これまでの一般的な起業とはイメージが異なる形ですね

起業する人の多くは、サービスやプロダクトを作り出そうとするので、当たったり外したりギャンブル性があります。ところが営業に特化すると、すでに存在して実績のあるサービスを売るだけでいいので、爆発は無理でも事業としては手堅いのです。一方で、事業をスケールさせてバイアウトし、何十億、何百億と稼ぎたい人は大きいことをすればいいと思います。しかし、私は自由を目的地に起業したので、まずは仕組み化できる事業の成立を目指しました。

「なぜ起業したいのか、目的地のない挑戦ほど苦労と失敗のリスクがある」

─最後に、これからビジネスを立ち上げる人へのアドバイスがあればお願いします

これから起業を考えている人は、「プロダクトをつくらない」「在庫を持たない」「借金をしない」「現金化が早い」「利益率が高い」の5つを意識してみてください。それともうひとつ。社長になることや起業は、決してゴールではなく手段に過ぎません。ですから、その先に自分がどうなりたいかを考えることが重要なんです。私は何もないから営業を覚え、その営業手法から再現性を見つけ出し、さらに体系化して人に教えてマネジメントする。この繰り返しで、現在ではグループで1000人を超えることができました。

─やることよりやらないことが大事だとはよく聞きますが、まさにそれを徹底されていることがわかりました。漠然と始めるのではなく、目的を持った起業が大切なのだと。貴重なお話ありがとうございました。

会社名株式会社アローズ
住所東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32階
代表二谷誠
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