株式会社ビーウェル|大亀 雄平

借金を完済し、かつての仕事仲間と会社を復活させた。仲間のアイデアから始まった新卒ビジネス。今後は日本の就活生に加え、アジアの有能な学生たちもサポートする。

大亀雄平(おおかめ ゆうへい):1982年、兵庫県宝塚市出身。2006年、大阪市立大学在学時に株式会社ビーウェルを創業。就活カフェの先駆けとして、就活イベント、ゲスト講演会、企業とのマッチングなど、主に就活生の活動を支援。2019年、韓国に「KOREC」を設立し、韓国人学生の支援も手掛ける。一度は経営に失敗したものの、再起に成功した裏話を大亀氏に聞いた。

一度は離れた仲間と会社の再起を決意

─大亀さんは学生起業したものの、27歳のときに大きな失敗をされたとお聞きしました。再起のきっかけはなんだったのでしょう

弊社の10周年と、当時の仲間だった白根(同社専務取締役)の提案がきっかけです。かつて経営に失敗した時も、彼は「今後も一緒にやろう」と言ってくれていた。ただ、当時は給料も払えませんでしたし、返済のためにも一旦は離れたんですね。借金を3年ほどで完済し、改めて10期を迎えたタイミングで白根から声が掛かりました。

─では、白根さんがビーウェル復活のキーパーソンでもあったのですね

そうなんです。当時の私は東京にいて、パンスール(株式会社Penseur:代表 寺嶋正浩氏)の仕事を手伝っていました。白根も弊社の拠点も大阪でしたので、お互いの距離でも可能な事業はなんだろうと。そこで彼が出したアイデアが、新卒ビジネスでした。私は就活の経験がないので、収益化するイメージが湧かない。かつて白根には迷惑をかけたし、その彼がやりたいと言うならやってみようと。ただ、私は東京での忙しさもあったので、初めの頃はほとんど関われていませんでしたが(笑)。

学生たちの情報交換と活動の場「就活カフェ」

─新卒ビジネスと言っても、当時はビジネスモデルとして確立されていなかったと思います。具体的には何から始めたのでしょうか

まずは就活生が集まれる場所として、白根が大阪本町に就活カフェをオープンさせました。もともと弊社は学生支援をしていたので、彼らのネットワークを使ってカフェを広めていけばいい。同時に企業にも声を掛けながら、学生との出会いの場というか、講演会や情報交換会などの就活イベントをやってました。

「当時は新卒採用というビジネスモデル自体が明確ではありませんでした。いろいろ模索しながら改善しつつ、少しずつ形にしていきました」

企業が抱える採用ブランディングをサポート

─就活カフェの運営やイベントだけでは、売り上げの天井というか、スケールの限界があるようにも感じます。その点についてはいかがでしたか

おっしゃる通りです。主な売り上げは出展料なので、参加する企業の数に左右されます。一方では、企業もスカウト要員を送るリソースが無いなど、様々な問題を抱えている。BPOとはいかないまでも、採用はサポートする必要があると感じたんです。例えば、会社が30人の採用に2千万円の予算を割くなら、1人あたりの予算は70万円ほど。「そのうち10人はビーウェルが確保します」を可能にすると、弊社は700万円の収益を得られることになるわけです。

─限られた予算と遠征の手間を考えると、企業は採用に至らなければ意味がない。その労力をビーウェルで請け負いますよということですね

おっしゃる通りです。これまで多くの企業を見てきましたが、大半は採用ブランディングができていません。会社の認知が取れていない限り、どれほど採用に予算を使っても人は集まらない。この傾向はあまり変わっておらず、現在も新卒採用のニーズは非常に高いです。

有能な韓国人学生を支援する「KOREC」設立

─2019年には、韓国人学生の支援を目的としたKORECを設立されています。なぜ、海外へ目を向けられてのでしょうか

増収増益が続くなかでも、私の中には常に違和感がありました。国内の就活生の人口には限界があるし、新卒マーケットに参入する企業も増えている。長期的に見ても、レッドオーシャン化する市場で勝負するのはどうなのか。そんなタイミングで、山田功生(同社、韓国事業責任者)に再会したんです。彼との出会いは動画の仕事の依頼。その制作を受注したのが私でした。彼は新卒で大手人材会社に入り、部長にまで駆け上がった有能な人です。

「人口推移を見れば、国内の就活生も当然減っていきます。また、参入する企業も増えてますし、パイの取り合いを続けることにも魅力を感じませんでした。」

─有能な人材を企業に送り込みたいという、大亀さんが考えるモデルケースのような人ですね

そうなんです。また、山田は韓国に太いネットワークを持つ人材でもある。私自身も、いずれはグローバルビジネスという漠然とした想いがありました。しかも、韓国人学生は有能だし、中には英語と日本語もできるトリリンガルもいるんです。この有能な人材を放っておくのはもったいないと思う。そこで山田の協力のもと、韓国にKORECを設立しました。

かつての仕事仲間のおかげもあり、倒産の危機から復活したビーウェル。業績が安定しつつも、「ビジネスの成長速度に不満を持っていた」と大亀氏は語った。韓国人学生の有能さに気づき、改めて日本企業とのパイプ役に挑戦した。今後はどの国の学生をサポートするのか、今後のビーウェルが楽しみにしたい。

会社名株式会社ビーウェル bwell co.,ltd.
住所本社  〒542-0081 大阪市中央区南船場 3-7-27 NLC 心斎橋 3F
事業所 〒150-0011 東京都渋谷区東 3-9-19 VORT 恵比寿 maxim11F
代表大亀 雄平
設立2006年10月
Webhttps://bwell.jp/
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